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自己紹介

はじめまして 。

本サイトの運営・管理を行っている安藤克利と申します。

大学病院や地域の基幹病院で呼吸器内科医として勤務した後、1年間会社員として新薬の開発に携わりました。

2018年6月より、目黒ケイホームクリニックという小さな医院を開院し、現在、在宅医療や外来診療に携わっています。

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元々、医療だけでなく医療以外の様々な分野に興味があり、新しい物を開発することが好きでした。

下記のような背景から、側弯症における医療者と患者さんの情報ギャップを埋めたいと考え、本サイトや側弯症に関するアプリを開発する運びとなりました。

​なぜ内科医が側弯症?

呼吸器内科医として診療している中で、高度側弯症に伴い、呼吸機能に障害を来した患者さんと出会う機会がありました。

さらに研修医時代からの友人が、側弯症を得意とする整形外科医となり、医療者と患者さんの間には情報のギャップがあることを知りました。

このような経験を契機に、整形外科という分野の異なる疾患であるものの内科医の視点から「側弯症」を学んできました。

医療者と患者さんの間の情報ギャップ

整形外科医の友人が教えてくれた外来での一場面。

 

外来で時間をかけて「経過観察、装具治療、手術」が大切であることを説明し、同時に不安を和らげるよう心がけている。

しかし、患者さんの中には、ネット情報を頼りに民間療法を実施・継続され、進行された段階で再受診される方もいる。

一方、本疾患を学ぶ中で、私が患者さんと家族から聞いた話。

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・整形外科の先生は、治療は、経過観察、装具治療か手術しかないといわれました。

・経過観察って放置しているってことでしょう。放置するのであれば、なぜ他にできることがあるか探しては駄目なのですか?

・運動療法は聞いたところ、「そんな治療は意味ない」と一蹴され、これ以上聞けなくなってしまいました。

この話を聞いた時、医療者と患者さんの間には大きな情報ギャップが存在し、そのギャップにより医療者同士の「否定」が生まれ、結果的に患者さんがその状況で悩まれていることがわかりました。

内科医だからできること

外科医は「手術」が本職であり、腕のよい外科医には、たくさんの患者さんが集まります。加えて、手術が必要な患者さんには、詳細に説明しなければなりません。

このため、手術以外の話(経過観察や病態)をゆっくりと時間をかけて、、、というわけにはいかない事も事実です。

一方で、この「思春期側弯症」という疾患は、経過観察の期間が長く、患者さんは、手術以外の事を時間をかけて、いろいろ聞きたいと思うわけです。

このような背景から、こと側弯症については、経過観察は内科医が行い、日常生活での不安は会話の中で解決していく。

その上で進行し、手術が必要になれば、外科医に紹介する、といった管理ができれば、外科の先生には手術に集中して頂ける環境となり、患者さんも様々な情報に迷わなくてよくなります。

しかし、残念ながら整形内科という領域はありません。

そこで側弯症を学んだ内科医として、本ページで情報をまとめたり、患者さんの不安に少しずつでも向き合うことで、そのギャップを埋める事ができたらと考えました。

​本ページでお話したいこと

医療者と患者さんとのギャップを埋めるために大事なこと。

 

それは、エビデンスを意識した強い否定や医療者同士の戦いではなく、「大事なことは何か?」を明確化することなのだと思いました。

 

そして、「大事なこと」を下記の2点にシンプルにまとめました。

 1.「経過観察=放置」でなく、側弯症の病勢を把握する重要な診療であること

病勢の進行は、①、②、③のように様々ですが、ほとんどの患者さんは①のように軽症で特別な治療を必要としません。

 

しかし、一部には③のような経過をたどられる方がおり、このような方は有効性の証明された治療が必要となります。

多くの側弯症患者さんの中で、治療を要する③の方を見極めることが大切なのですが、現時点ではその方法は時間経過と共に進行するか否かを判断するしか方法がないのです。

将来、血液検査によって①か③か判別できるような時代が来れば、初診で③の方が抽出できるようになるため、今のような経過観察などは不要になるのかもしれません。

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患者さんにとって「経過観察=放置」と感じる気持ちはよくわかります。

 

しかし、経過観察とは、①であるのか③であるのかを鑑別する手段なのだということをご理解下さい。

 

2.経過③の方が、適切な時期に装具治療を開始し継続すること

 

適切な時期より装具治療を開始することによって、手術を必要とされる患者さんの割合が少なくなること、は質の高い臨床試験によって示された事実です。

 

よって、前述が達成されるのであれば、民間療法を試してみたいという思いを否定する必要はないのかもしれません。

 

しかしながら民間療法には、経済的なリスク(お金がかかる)や信仰的なリスク(もっと続ければ改善するのではないかという思いを持つ)が含まれていることに注意が必要です。

(治療効果のあった一例が示されている治療法には特に注意が必要です。)

 

有効性が証明されていない治療や施術者を試すことを否定する理由はありませんが、あくまで適切な時期を逃さず治療を開始できるよう経過観察されることが重要になります。

医療者と患者さんの情報ギャップ

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医療者と患者さんの情報ギャップに気付いた背景

 

私の研修医時代からの親友が、側弯を専門とする整形外科医(優秀で熱心かつ

信頼のおける)となり、第一線で活躍されています。彼と酒を飲みかわす中で、

側弯症に関する話を聞き、下記のような問題点を教えて頂きました。

 

外来で時間をかけて「経過観察、装具治療、手術」が大切であることを患者さんに話しても、不安が強く、ネット情報を頼りに民間療法を行い、進行してしまった段階で戻ってこられるケースがある。もっと早く定期的に来てくれればと思うことが多くある。

 

私自身もインターネット上で情報を集めていくと、多くのネット上では上記以外の治療(運動療法など)及びこれらを推奨する医療関係者を否定されている現状が理解できました。

 

一方、本疾患を学ぶにあたり、逆の視点から見ることも大切だと考え、運動療法を実施されている医療施設にお邪魔させて頂き、見学させて頂きました。

 

そこでは下記のような話を聞きました。

 

治療は、経過観察、装具治療か手術しかないといわれました。経過観察って放置しているってことでしょう。放置するのであれば、なぜ他にできることがあるか探しては駄目なのですか?

 

運動療法は聞いたところ、「そんな治療は意味ない」と一蹴され、これ以上聞けなくなってしまいました。自分なりに情報を集め、運動療法を試してみることにしました。

 

 

この話を聞いた時、医療者と患者さんの間には大きな情報ギャップが存在し、そのギャップにより医療者同士の「否定」が生まれ、結果的に患者さんがその状況で悩まれていることがわかりました。

エビデンス。

されど当事者は。。。

私は、研修医時代から論文(エビデンス)を基にした診療を意識し、逆に会社員時

代にはで薬の開発に従事することでエビデンス作りに携わっていました。

 

エビデンスとは何か?

これは、臨床試験という「治療を受けた患者さん集団A」と「治療を受けなかった患

者さん集団B」を比較するものです。このような臨床試験によって評価されて、はじめて「治療に効果がある」、「治療に効果がない」といえることになります。

 

症例報告(効果のあった1例)や単一施設のまとめ(1施設での報告)は、報告者の意図によって内容を提示することが可能になるため(例:効果があるといいたければ、効果のあった一例を提示する)、原則的に「治療が有効であるか否か」を語ることはできません。

 

ですので「民間療法は意味がない」という表現についても、民間療法に関する臨床試験の結果がない限り、「意味がないか否かは分からない」という表現が正しいことになります。

しかしながら、「意味があるか否かは分からない治療」を「意味のある治療」のように見せるため、効果のあった一例のみが宣伝されていることが多くあります。

このような場合には、経済的(施術にお金がかかる)・信仰的リスク(効果の分からない治療に依存してしまう)が含まれていることが多くあります。

 

しかし一方で、患者さんの立場にたってみると、エビデンスがないことは分かっている。意味がないかもしれない事も知っている。それであっても試してみたい。といった気持ちになります。

結果的に、医療者に否定されることで、相談することができない状況が生まれ、上記のような悪循環に陥っていきます。

 

このような背景から、エビデンスの有無や治療成績で否定や意見をぶつあっても、医療者と患者さんのギャップは解決できないと思いました。

大事なことは何か

大事なことは何か?

 

医療者と患者さんとのギャップを埋めるために大事なこと。

それは、エビデンスを意識した強い否定や医療者同士の戦いではなく、「大事なことは何か?」を明確化することなのだと思いました。そして、「大事なこと」を下記の2点にシンプルにまとめました。

 

  • 「経過観察=放置」でなく、側弯症の病勢を把握する重要な診療であること 

詳細は第2章で記載しています。

病勢の進行程度は①、②、③のように様々ですが、ほとんどの患者さんは

①のように軽症で特別な治療を必要としません。

しかし、一部には③のような経過をたどられる方がおり、このような方は

既にエビデンスで有効性の証明された治療が必要となります。

多くの側弯症患者さんの中で、治療を要する③の方を見極めることが大切

なのですが、現時点ではその方法は時間経過と共に進行するか否かを判断

するしか方法がないのです。

将来、血液検査によって①か③か判別できるような時代が来れば、初診で

③の方が抽出できるようになるため、今のような経過観察などは不要にな

るのかもしれません。

患者さんにとって「経過観察=放置」と感じる気持ちはよくわかりますが、実際には病勢の鑑別なのだということをご理解頂ければと思います。

 

  • 経過③の方が、適切な時期に装具治療を開始し継続すること

 

適切な時期より装具治療を開始することによって、手術を必要とされる患者さんの割合が少なくなること、は質の高い臨床試験によって示された事実です。

よって、前述が達成されるのであれば、民間療法を試してみたいという思いを否定する必要はないのかもしれません。

 

しかしながら民間療法には、経済的なリスク(お金がかかる)や信仰的なリスク(もっと続ければ改善するのではないかという思いを持つ)が含まれていることに注意が必要です。

(治療効果のあった一例が示されている治療法には特に注意が必要です。)

 

有効性が証明されていない治療や施術者を試すことを否定する理由はありませんが、あくまで適切な時期を逃さず治療を開始できるよう経過観察されることが重要になります。

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